木材利用の意義

設計・建築に関わる方から、「なぜ木造建築なのか?なぜ県産材なのか?」と問われます。
県土の多くを占める森林を健全な状態で維持し、次世代に残すためには、今ある森林とうまく付き合っていく必要があります。

戦後、公共建築物は不燃化、非木造化を目指し、特に火災等の拡大が懸念される都市ではその傾向が著しく、官公庁建築物では不燃化が進められました。そうした中、昭和30(1955)年には「木材資源利用合理化方策」が閣議決定されます。戦後の旺盛な木材需要で森林が伐採され、資源が枯渇しかねない状況が背景にあり、国・地方公共団体は率先垂範して建築物の不燃化を促進し、木材の消費抑制を図りました。もともとこの方策は木材需給対策の一環でしたが、皮肉なことにこれを契機に建築工事や土木工事から「木」の排除が進みます。森林資源を守り維持するための方策が結果として木材需要を縮小させることとなったのです。

そして「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が平成22(2010)年5月に成立し、同年5月成立、同年10月から施行されました。この法律はこれまで公共建築物での木材利用を避けてきた国の方針を大きく転換するものでした。国は自ら率先垂範して「公共建築物」への木材利用を図り、地方公共団体も国の施策に準ずることとされています。過去の「非木造化」の考え方が180度転換されたのです。

さらに、令和3年10月に施行された「脱炭素社会の実現に資する等のための建築物等における木材の利用の促進に関する法律」は、対象が公共建築物から建築物一般に拡大され、民間の社屋、店舗など幅広い施設で木造化・内装木質化が広がることが期待されています。
現状、公共建築物をはじめ、多くの建物が鉄筋コンクリート、鉄骨造です。森林資源を木造建築物に有効利用する事で、林業、製材、市場、大工工務店での事業活動が可能になり、地域内の経済が好循環となります。森が活用されず無関心になるとどうなってしまうのか…。それは、手入れがされず荒廃して鳥獣の棲家となり、災害リスクが高まるだけなのです。

詳しくは「とくしま木育ハンドブック(専門編)」をご覧ください。

木造4階建共同住宅(徳島市)