100年近い時を重ねた古民家を、地域に開かれたコーヒー専門店として再生した事例です。
店主の岡﨑さんは、県外で14年間バリスタとして経験を積んだのち、徳島へUターン。地域での暮らしと生業の両立を模索するなかで、この古民家と出会いました。
建物そのものを新しくつくり替えるのではなく、これまで積み重ねてきた時間や素材を生かすことを重視。木の質感や構造材を残しながら、現代の店舗としての機能を整えました。

この物件を選んだ決め手は何でしたか。
最初に見たときは、草が生い茂り、建物の状態も含めて正直イメージがわきませんでした。建築士の福田さんに現地を見てもらい、「建物の向こうに見える四季の田園風景を生かせる」と言われたことで可能性を感じました。プロの視点があったからこそ決断できたと思います。
設計途中や施工途中で印象的だったことはありますか。
古民家の内部を自分たちで片づけていた時に、昔の道具がたくさん出てきました。古道具が好きだから、扇風機やテーブルなど、今も使えるものは店に置いています。
完成した店舗を初めて見たときの印象はいかがでしたか。
改装工事の過程を見ていても、完成した空間はまったく印象が違いました。特に木の壁や空間のまとまりによって、温かみのある雰囲気に大きく変わったと感じました。
建物について、お客様からはどのような反応がありますか。
外観と内部の印象の違いに驚かれることが多いです。木の温もりや落ち着いた空気感は、自然と伝わっていると感じています。
完成からしばらく経った今、改めて感じていることはありますか。
木の空間は、使いながら育てていくものだと感じています。水シミなどにも気を配りながら、手入れをしつつ大切に使っていきたいと思っています。
これから店舗や施設をつくる人に、木材利用のポイントやアドバイスはありますか。
木は経年変化を楽しめる素材で、革のように少しずつ表情を変えていきます。また、調湿性があるため、空間としての快適さも感じやすいです。
モニター製品[杉銘木一枚板]を選んだ理由を教えてください。
木そのものの魅力が伝わるものを選びました。脚をつけてテーブルとして使う予定です。お店の庭にスイーツのキッチンカーを呼ぶこともあって、そんな時の飲食スペースとして活用できそうです。
設計者の声
福田頼人さん(くすの木建築研究所)
動線に影響があっても、立派で価値がある柱は残すことを優先しました。
また、この地域特有の建て方を尊重し、古民家ならではの味わいを大切にして計画しています。木材の使い方など、随所に大工技術の素晴らしさが感じられる建物です。







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