科学的な実験に裏付けられた品質
徳島県では産学官が連携し、全国に先がけた実大強度試験などを行い、
ユーザーの求める信頼性の確保に努めてきました。
強度等の品質性能が明確な徳島すぎなら、建材として安心して使用できます。
今でこそスギ材は、梁・桁など木造住宅の構造材の代表として使われていますが、昭和50年代までのスギの評価は低いものでした。それは節を除いた40cmほどの小試験体で実験を行い、これから求められた強度が建築の現場で採用されていたからです。
そこで昭和59年、本県の林業家らが、徳島すぎの実寸法の梁材124本を国立林業試験場に持ち込み、曲げ強度の破壊実験をしたところ、予想以上に高い強度値を示しました。
この結果は波紋を呼び、それ以降、全国で実大材試験が行われ始めました。その後データが蓄積され、平成3年にはJAS強度値が見直され、全国の木造建築物でスギが使われるようになったのです。
梁・桁など横架材に用いられる甲種構造材で比較すると、1級材では「ベイマツ」が「スギ」を上回りますが、一般に流通している2級材では、「スギ」が「ベイマツ」を上回っています。
また、機械等級区分製材(E90)でみると、「スギ」が「ベイマツ」を上回っていることがわかります。これまで実験した徳島すぎ梁材(379体)のデータを分析すると、全体でもE90が全体の46%を占めていることから、徳島すぎが強度に優れ、他地域では真似の出来ない特徴となっています。
徳島県では、こうした徳島すぎの特徴やこれまでの研究成果を生かし、これまで勘や経験で決められてきた部材の断面寸法を標準化した「徳島すぎスパン表」を作成し普及しているほか、県産木造住宅の仕口・継ぎ手など接合部の強度性能を検証するなど、常に県産木造住宅の信頼性向上に努めています。
なお、徳島すぎの良さは強度だけではありません。もともと板材の産地で、「阿波の三分板」として大きなシェアを誇り、昭和初期には那賀川河口に西日本有数の製材産地を形成した伝統的製材技術はその後、スギ足場板生産に生かされ、現在では、付加価値の高い「住宅用内外装材」に生かされています。
吉野川以南の温暖多雨な気候・風土はスギの生育に適し、大径材丸太から良質な厚板が採材できることとなります。また豊富な日照量のもとでじっくりと乾燥された徳島すぎの厚板にはスギ本来の天然抽出成分が温存されています。