用途いろいろ
地方によって丸太の径級区分は微妙に違っています。
丸太から尺材製品を得るためには末口34㎝以上は必要であることから、徳島県内では34cm以上を尺上材、
18~32cmを中目材と呼びます。図には若齢から高齢級の徳島すぎ丸太の利用形態を示しています。
伐採木の根元部分は元玉材と呼ばれ、その多くが大径の尺上材です。節の少ない丸太からは敷居・鴨居、長押等の造作材が加工されます。徳島県内では、尺上材からスギ下見板など幅広の板が古くから生産されてきましたが、昭和50年頃からは芯去りの割角(割柱)の生産も行われ始め、主に九州市場に向けて出荷されてきました。
これら化粧向けのいわゆる役物製品は比較的高値で取り引きされましたが、建築様式の変化等で、役物製品に対する需要が激減し、それに比例し生産量も縮小しています。これが徳島すぎ丸太全体の取引価格を押し下げる要因となっていますが、現在、資源の成熟とともに高樹齢の大径材が増え、役物にかわる新たな大径尺上材の利用開発が急務となっています。
中目材は丸太全体に占める材積割合が約6割と大きく、その利用策は全国的な課題となっています。徳島ではこうした中目材を、焼きスギの原板や足場板などの板材、貫・垂木・胴縁などの小割材に加工したほか、近年では住宅用内外装材が増加しています。このほか、県内の林業グループが国、県の研究所とスギ強度試験のデータを積み重ねた結果、中目材から住宅用の梁・桁が生産されるようになりました。
小径材は、県央の大型製材工場などで芯持柱材等に加工され、主にプレカット用部材としても県外へ流通しています。このほか県公共土木工事向けの杭や工事看板、木製ガードレールとしての利用も進んでいます。
また、徳島県ではこれまで林業再生・飛躍・次世代・新次元プロジェクトを実施し、林業の機械化や間伐材の有効利用を進め、合板やMDF(中質繊維板)材料として供給体制を確立してきました。現在そうした取り組みはスマート林業プロジェクトに引き継がれるとともに、産学官が連携した、徳島すぎの新たな用途開発が行われています。